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コラム・豆知識~形成外科 編

コラム・豆知識~形成外科 編

植皮の話

形成外科の手術のなかで重要な位置をしめるものに植皮という技術があります。これは、外傷(けが)、やけど、潰瘍、瘢痕など、皮膚が足りない状態のときに、皮膚だけを植えてその傷をふさいでしまうものです。

植皮には大きく分けて、全層植皮と分層植皮があります。これは植える皮膚の厚さによる分け方で、植える皮膚が厚いときが全層植皮、植える皮膚が薄いのが分層植皮です。どのように使い分けるかは皮膚の足りない部分(植えられる部分、母床と呼びます)の大きさ、部位、状態などによって決めます。

植皮といっても、皮膚をとってきて皮膚の足りない部分にのせて周りを縫う、ということなのです。でも、植えた直後の皮膚には、血液の流れはありません。つまり、そのままずっと血液が流れなければ、死んでしまうものなのです。それを母床に縫いつけることによって、非常に細い血管が植えた皮膚と母床の間にできて、植えた皮膚に血液の流れが再開するのです。しかし、植えた皮膚と母床の間の血流の再開が、何かの理由で妨げられれば、植えた皮膚が死んでしまうということもあり得るわけです。植皮が生着する条件にはいくつかあります。

まず、植える皮膚の厚さです。植える皮膚が薄いほど、血流の再開が起こりやすいので、植えた皮膚は生着しやすいのです。つまり分層植皮の方が生着しやすいといえます。

次に、母床の状態があります。つまり、母床の血液の流れが多ければ、それだけ植えた皮膚との間に血流の再開ができやすくなり、生着しやすいのです。

また、植えた皮膚と母床の密着状態にも関係があります。植えた皮膚と母床の間はしっかり密着していないと血液の流れは再開しにくくなり植えた皮膚は生着しません。だから、植えた皮膚と母床の間に血液が貯まったりすれば血流の再開は起こりにくくなります。血液の流れが再開し、それが安定するには約一週間かかります。その間に、植えた皮膚と母床がずれたりすれば、せっかくできた血管は非常に細いので切れてしまって植えた皮膚は生着しません。だからその間はしっかりとした固定が必要になります。

このほかにも植皮の方法にはいくつかありますが、いずれにしても現在のところ、確立している方法では、植える皮膚は自分の皮膚を用いるしかありません。

 

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